人間が固定構造物内で長期間海中で生活しようとする場合、潜水艦や潜水艇のような移動構造物とちがい、耐久性確保のため構造物内部の気圧を外の水圧と同じ状態に保たなくてはなりません。
そこでアメリカ海軍が次のような実験を行っています。
まず水中では10メートル深くなるごとに水圧が1気圧上昇します。それにもとずき、10メートルごとに居住ポイントを設置し、内部の気圧も外部と同じ圧力にします。つまり深さ10メートルなら2気圧、20メートルなら3気圧以上となります。
そして被験者はまず10メートルポイントで数日間生活し身体を2気圧の状態にならします。これで被験者の体内圧力も2気圧となります。さらに10メートル下がり20メートルポイントで数日間すごし3気圧にならします。被験者の体内圧力も3気圧です。このようにして10メートルごとに深くもぐっていきます。そしてもどる時も10メートルごとに段階的に圧力を下げながら十数日かけて海上へ出ます。この実験の結果、現時点では人間が海中で長期滞在できる限度は数10メートルが限界とのことです。(1992年当時) しかし科学技術が発達し、仮に深海8千メートルまで可能になったとします。その時構造物内の気圧は単純計算で800気圧以上! そして人体内の圧力も800気圧になっています。この状態で、一瞬で1気圧の海上に出たらどうなるか。当然身体は圧力差に耐えられず膨張して破裂するということになります(もちろん作品中のようにバラバラにふっとぶかどうかはわかりませんが)。このような説明をつけなきゃならないのは作者の力量不足以外の何物でもないのですが「刑務所の中も1気圧なんだから、こんなこと起こらねーよ! やめちまえ!!」とガンコなツッコミをされる方がいますので、このようなページを設けさせていただきました。
※映画「リバイアサン(主演/ピーター・ウエラー)」や「スフィア
(主演/ダスティン・ホフマン)」で同じネタがあつかわれています。